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※ この掲示板は「そののち歌会new」です!
※ この掲示板では毎月2回、題詠による歌会を開催します。
※ 世話役は管理人のやねうらねこ(紀水章生)です。
※ 投稿はメールで管理人までおねがいします。
    やねうらねこ<kimi2008@naxnet.or.jp>
※ 前期は1日に、後期は16日に掲示板にお題を掲載します。

※ なお、掲示板のトラブルの場合には次の会場(予備)を使います。
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題名:第57回そののち歌会 ご案内  名前:やねうらねこ@管理人 2010/08/29(日) 19:32 No.6150  操作



 【 第57回 そののち歌会 】

■次のお題がきまりましたので、ご案内をさせていただきます。

■参加される方はここの「RES」から参加表明してください。

■参加表明の後、「やねうらねこ」までメールで作品を送ってください。

 ※メールの件名に「そののち歌会」の文字を必ず書いてください。

 ※メールの件名または本文に、投稿者の表示したいお名前を必ず入れてください。


■参加表明・投稿の〆切りは、9月6日(月)です。

■7日(火)に詠草一覧を掲載します。批評・鑑賞、選歌についてはこの時に説明します。

■補足
 歌評の際に、登録名ではなく「作者」としてコメントされることについては、当面「なし」を原則に進めたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

■一読選歌
 最初の読みの時点での「一読選歌」にご協力をお願いします。

■■■ 題 ■■■

題詠一首。

 お題は『飲』または『呑』です。
 これらの文字を詠み込むか、飲む・呑むといった行為をイメージして詠んでくださっても結構です。表記は自由、外国語でも結構です。

それではよろしくお願いいたします。


  
 

題名:Re: 第57回そののち歌会 ご案内  名前:ボブ 2010/09/01(水) 08:31 No.6152  操作

参加させていただきます。
とまず表明して、これから歌を考えます。

よろしくお願いします。

  
 

題名:Re: 第57回そののち歌会 ご案内  名前:ふみまろ 2010/09/01(水) 22:35 No.6153  操作

参加します。
よろしくお願いします。

  
 

題名:Re: 第57回そののち歌会 ご案内  名前:柳 蒼柳 2010/09/02(木) 19:13 No.6156  操作

参加します。宜しくお願い致します。


題名:第57回そののち歌会へ   名前:やねうらねこ@管理人 2010/08/31(火) 21:55 No.6151  操作


6151の画像を原寸大表示します  第57回そののち歌会のお題は『飲』『呑』、このお題に沿った歌を探してみました。

杉ア恒夫「パン屋のパンセ」


○これが海の愛だとばかりに夢に見る海はわたしを呑み込んでしまう


○卓の下に長い脚組むフラミンゴ 東京の珈琲はおいしいですか



題名:第56回そののち歌会 作者名一覧  名前:やねうらねこ@管理人 2010/08/28(土) 17:27 No.6148  操作



    【 第56回 そののち歌会 作者名 】

1)オペ室のあかいランプがきえるまで いちょうらくようかぜふきやまず     ボブ

2)熊蝉のしゃあしゃあと鳴く昼下がり分娩室に新命の声す     柳 蒼柳

3)隣室のシャワーの聞こえる真夜中のホテルでひとり白桃をかぐ     森川雅美

4)ワックスの匂いかそけき教室の狭きこと懐かしくもかなし     ツトム

5)いりまじる形而の上と君のこと図書室に蝶まからむ列へ     ナカノフスキ

6)室温を一度あげれば穏やかな寝息のひとは闇にほどける     紗都子

7)汝が夏の帆を掲ぐべし心室に鮮しき血の満ちてゆくとき    長嶋信

8)季語のなき花のあふれる温室に歌ひらきゆけ終の十字架     ぷよよん

9)見回せばアウシュビッツの心地せり喫煙室に群れ生す吾等     山田杜魚

10)あなたまでとても遠い日しらしらと室外機より風闌けてゆく     ゆるら

11)病院の待合室に加湿器の霧立ち込めてここは湿原     長谷川径子

12)腕より離されし時うばわるる心地のしたり 吾子オペ室に消ゆ     碧

13)ひとしきり蝉の声々 ゆうやけにきみが足りない御室仁和寺     くも

14)君入りしのちの浴室カランからあを色のみづふきだしやまず     草蜉蝣

15)陽のささぬ沼ひとつあり赤と黒せめぐ花芯の生ふる暗室     紫苑

16)沈黙の夜にあなたが溶けぬようルームライトを灯してねむる     やねうらねこ

17)『誕生日』いちまいかしぐ住む部屋も住まざる部屋もおなじ詩の果て     ふみまろ


・・・・・・・・・・・・・・・・・

 7)の長嶋信さんが19点で最高得点でした。天賞おめでとうございます。
 次点は6)の紗都子さんで11点でした。なお、13)のくもさんも10点で高得点でした。

 お忙しいところご参加くださった皆様方ありがとうございました。今回も多くの皆様にご参加いただき、その鑑賞文からもいろいろと学ばせていただきました。
 心よりお礼申し上げます。本当にありがとうございました。

■一読選歌についての票数(3票以上の作品)は次の通りです。
 ( ※同数の票については、番号順です )

【8票】7)汝が夏の帆を掲ぐべし心室に鮮しき血の満ちてゆくとき
【7票】1)オペ室のあかいランプがきえるまで いちょうらくようかぜふきやまず
【5票】16)沈黙の夜にあなたが溶けぬようルームライトを灯してねむる
【4票】8)季語のなき花のあふれる温室に歌ひらきゆけ終の十字架
【4票】13)ひとしきり蝉の声々 ゆうやけにきみが足りない御室仁和寺
【3票】3)隣室のシャワーの聞こえる真夜中のホテルでひとり白桃をかぐ
【3票】9)見回せばアウシュビッツの心地せり喫煙室に群れ生す吾等
【3票】10)あなたまでとても遠い日しらしらと室外機より風闌けてゆく
【3票】12)腕より離されし時うばわるる心地のしたり 吾子オペ室に消ゆ
【3票】15)陽のささぬ沼ひとつあり赤と黒せめぐ花芯の生ふる暗室

 一読選歌にご協力いただいたみなさまありがとうございました。7)の作品は初読時からインパクトのある作品で、最初からかなりの票が集まりました。しかも、その後さらに鑑賞文により読みが深まったようです。
 また6)の作品については一読選歌の段階では票が少なかったものの、時間をかけて鑑賞する中でじわりと味わいが深まった作品であったと思われます。

■第57回のお題は長嶋信さんにご相談のうえ、決まり次第お知らせいたします。


  
 

題名:Re: 第56回そののち歌会 作者名一覧  名前:長嶋信 2010/08/28(土) 18:59 No.6149  操作

ありがとうございました。
初めて天賞をいただきました。
この歌にいただいた読みのことだけを言うのでは無論ないのですが、
そののち歌会には皆様方の精力的で多様な読みがあり、
素人的な読みからなかなか脱せない僕は勉強させていただくばかりです。
今後とも宜しくお願い申し上げます。



題名:鑑賞 6)  名前:やねうらねこ 2010/08/21(土) 08:57 No.6043  操作


6)室温を一度あげれば穏やかな寝息のひとは闇にほどける

 室温を一度いうのはエアコンのことでしょうね。今のように夏の猛暑のときにはエアコンのきいている部屋は快適です。夜もエアコンがなくて茹だるような暑さの中ではなかなか眠りにつきにくいですね。でも、エアコンを効かしたままで寝てしまうと実は夜中にからだが冷えてきて体調が悪くなったりします。
 そのあたりのことを含めて、夢のなかへはいっていくときの情景を言わずに表現されているのだろうと思いました。
 また、この「ひと」への細やかな心遣いが感じられるので、もしかすると健康な人ではないのかもしれません。おとなしいけれど好きな歌です。

  
 

題名:Re: 鑑賞 6)  名前:紫苑 2010/08/21(土) 11:31 No.6050  操作

穏やかに眠る人への心遣い、暖かいまなざしが感じられます。
「闇にほどける」が適温の環境におかれた快い脱力感を
よくあらわしていると思います。

  
 

題名:Re: 鑑賞 6)  名前:ボブ 2010/08/21(土) 17:53 No.6058  操作

「穏やかな寝息」が「闇にほどける」

とても良い情景の描写だと思います。
「室温を一度あげれば」とおっしゃるのはエアコンが効きすぎて寒かったのでしょうか?やねうらねこさんのおっしゃるように、なにかしらの障害を抱えた方かもしれません。その方への思いやりが溢れるようです。

が、四句「ひとは」は必要でしょうか?
これを言わずに、たとえば

室温を一度あげれば穏やかな寝息が闇にほどけゆきたる(たり)

などでも良かったのでは?と思ってしまいました。

個人的な考え方なのかもしれません。「ひと」という言葉とか人称代名詞などは、かなり特別な意味合いを持っていない限り、使用に注意が必要なのかな、と。
間違っていましたら申し訳ございませんが。

  
 

題名:Re: 鑑賞 6)  名前: 2010/08/21(土) 22:15 No.6061  操作

6)室温を一度あげれば穏やかな寝息のひとは闇にほどける

「ひとは」が必要かどうかという点ですが、作者にとって、まさしくボブさんのおっしゃる(特別な意味合いを持っている)人物だからこそ使われた「寝息のひと」というフレーズだと思いました。
やねうらねこさんの言われるように、あるいは長らく患っているひとかも知れませんし、そうでなくても大切な家族であるのだとおもいます。
紫苑さんと同じく、作者の温かいまなざしをわたしも感じました。
相聞というよりは、もっと身近なひとへの思いやりの心のように思います。
紫苑さんの「快い脱力感」は言い得て妙ですね。

  
 

題名:Re: 鑑賞 6)  名前:ふみまろ 2010/08/22(日) 02:40 No.6068  操作

6)室温を一度あげれば穏やかな寝息のひとは闇にほどける

結句の「ほどける」は、少し暑くなって寝像をくずした様子と読みましたがどうでしょう?

「ひと」はここでは外して欲しくないと思います。

みなさまがおっしゃるとおり、私も暖かいまなざしというものを感じました。
音もありますし、体感的要素もあります。いい歌ですね。

  
 

題名:Re: 鑑賞 6)  名前:草蜉蝣 2010/08/27(金) 12:42 No.6136  操作

6)室温を一度あげれば穏やかな寝息のひとは闇にほどける

冷房の効いた部屋で身をちじめて寝ているひとを思いました
一度あげるという微妙な温度の管理から、長く患っているひとなのかと。

安直に「きみ」「あなた」とやってしまうわたしですが「穏やかな寝息のひと」はいいと思います。

  
 

題名:Re: 鑑賞 6)  名前:ボブ 2010/08/27(金) 23:39 No.6144  操作

もう殆んど結果がでたようですから、言わずもがなのことですが。

「ほどける」のは「寝息」以外にはありえないし、「寝息」でなければこの情感の良さはないはずです。

それが「ひとは」があるために解釈に迷いを引き出す。
であるからこそ、「ひと」不要と申し上げたわけです。
ここに「ひと」がなければ解釈に差異は起きないのではないか、と思ったのですが、まあ考えかたの違いはありなのでしょうか。
というより間違っているのはお前だ、と言われそうですが。

それと二句の「あげれば」の仮定的な想定がなければこの歌に異存はなかったのですが。

以上二点からわたしは全くの同意をするに至りませんでした。
作者さまには申し訳ありませんが、なお良くなる歌であると存じますので、最後に一言申し上げました。



  
 

題名:Re: 鑑賞 6)  名前:紫苑 2010/08/28(土) 01:33 No.6145  操作

「あげれば」の「ば」は順接の確定条件

原因・理由[〜ので 〜から]

ではないでしょうか。

  
 

題名:Re: 鑑賞 6)  名前:くも 2010/08/28(土) 10:22 No.6147  操作

月並みですけれど、何を詠うか、どう詠うか、
ということでもうしあげれば、

この歌の「どう詠うか」はじつにみごとな作り方だとおもいます。
初句から「ば」には、ま、いろいろでしょうが、
結句の言葉遣いの巧みさには舌を巻きました。

ただ、何を詠うか、では「え?」っておもうわけです。




題名:鑑賞2)  名前:ふみまろ 2010/08/22(日) 13:50 No.6083  操作


2)熊蝉のしゃあしゃあと鳴く昼下がり分娩室に新命の声す

作者様の丁寧な作歌態度がうかがえます。一生懸命に事実を伝えようとされているように思われます。
しかしながら散文とことなり、短歌のような韻文においてはいかにして言いたいことをそぎ落とすかがポイントになる場合が多いように思います。

「しゃあしゃあと」は言わずもがなではないか?
「昼下がり」の必然性はあるか?

など、削られる要素がたくさんあります。

「新命の声す」は「新しき声」でもじゅうぶんでしょうし、そもそも鳴き声から泣き声に持っていくのはつきすぎではないかと思うのです。

詠われている内容からして、ものすごく思いのこもった歌であることはわかります。私自身そうですが、そういう場合なかなか手放せないんですよね。多くのことを言いたくなる。しかしその分読者の介入の余地が減ってしまう。

下の句はとても良いと思います。ぜひとも推敲を重ねてさらに良い作品に仕上げてもらいたいものです。

  
 

題名:Re: 鑑賞2)  名前:ボブ 2010/08/22(日) 23:37 No.6087  操作

オノマトペというのはよほどのものでない限り、実態を越えて伝わることは少ないように思います。

私は最近それがゆえにオノマトペの効果に対してかなり疑問を感じつつ、その使用に懐疑的なものがあります。

私個人の考えですから、否定も非難も構いませんが、この歌の「しゃあしゃあ」が一首に効いているのかと考えると甚だ疑問ですね。
この二句は実態を捉え伝えているかと言えば、それを越えていないと言わざるをえません。

そこから導き出される情景は必然的に甘い雰囲気にしかなりえず、したがって下の句の状況さえも雰囲気に流されたように感じざるをえなくなってしまいます。

惜しい、と思います。オノマトペの失敗が後にひくことになってしまいました。

それと浅学なわたしには「新命」という言葉がわかりません。新しい命、という意味は他の言葉で言い換えできないものでしょうか。


  
 

題名:Re: 鑑賞2)  名前:紫苑 2010/08/23(月) 00:07 No.6089  操作

おふたりのご意見に賛成です。

上句に蝉をもってこられたのは「短い命」というイメージでなく
旺盛な生命力を下句につなげるためもあったと思いますが
オノマトペが生きていない気がします。

また、「新命」は作者さまの造語でしょうか。
仏教的な意味もありそうに思えたので調べましたがわかりませんでした。
分娩室で誕生するのは必然的に「新しい」いのちなので
ここは別の語で言い換えた方がよかったのではと思います。

  
 

題名:Re: 鑑賞2)  名前:くも 2010/08/31(火) 09:20 No.6096  操作

2)熊蝉のしゃあしゃあと鳴く昼下がり分娩室に新命の声す

実感でしょうか。

性差でもうすのははばかられますが、
この歌は女性に詠んでもらいたい気がします。

男性なら、ちょっと無責的な気がして・・



いま、もんだいになっているオノマトペ。

「しゃあしゃあ」は、
平気な様子であることを示す副詞、
「しゃあしゃあ」が掛けられていないことを望みます。
(現代短歌では掛詞は通常ありません)

夏の暑いさかりに、ひとつの命の誕生があったんでしょう。
その産声と蝉の声とがまじりあい、
ひとの生命と自然という生命の見事な調和、
ひいては、この世のすべての「生命」の
神秘さ・不可思議さと奥深さ、
そういうものが表現されるとよかっのですが。

ふみまろさんが、おっしゃるように、
「ものすごく思いのこもった歌」であり、
「手放せない」作品なのでしょう。

記念碑なんです。


「わたしは、これが言いたいんですもの」という実感。
実感にまさるリアリティはない。
実感を歌にすれば間違いがないという信憑、
じつは、そこに誤解があるんですね。

短歌という短詩形文学では、
とくにそのへんの
急所を取り違えている方が多くいらっしゃいます。
(というより、わたしはそういうひとを何人か知っています)

事実を詠わなくてもいいし、
むしろ、
事実を詠わないほうが
リアリティが生まれるというパラドクスが
短歌(どんな芸術もそうだけど)にはあるんです。

ところで

蝉の声は、むしろどんなにうるさくても
静かなものかもしれませんね。

閑さや巌にしみいる蝉の聲

という認識です。

なんであれ「しゃあしゃあ」は安直でしたかね。
蝉を「しゃあしゃあ」と表現したのは珍しい気がするけれど。
やはり、三句切れにして、
昼のむやみなあかるさと、
蝉のむやみなあかるさと、
生命誕生の神秘的なあかるさと、
そういう奇蹟的な邂逅を、
三十一文字で収めようとしたたくらみが
撃沈された瞬間でしょうか。

そもそも「分娩室」という文字が、
読者に相当のイメージをもたらしますからね。


と、批判的なものの言い方をもうしあげているように
取られますが、わたしは、一票投じたい歌です。

(なんで? だって実感なんだもの)

(こういう矛盾したもの言いはまずいな・・)

  
 

題名:Re: 鑑賞2)  名前:長谷川径子 2010/08/26(木) 08:30 No.6125  操作

2)熊蝉のしゃあしゃあと鳴く昼下がり分娩室に新命の声す

 しゃあしゃあ が是か非か。本当に熊蝉はしゃあしゃあと鳴くんです。油蝉はジージー。しゃあしゃあと熊蝉が鳴くと、太陽のシャワーが降ってくる感覚にもなります。本当にしゃあしゃあ鳴くことが歌のオノマトペを肯定していく要素ではないことはそのとおりなのですが、しゃあしゃあは一途な鳴き声であると思います。
 新生児もオギャアというよりは、しゃあしゃあと泣くんです。
真っ赤になってしゃあしゃあと全身で。
 あと、しゃあしゃあは、バイタリティを感じる言葉です。何があろうと、蝉は鳴き、赤ん坊は泣き、自然は巡る。

 ひねりとかはないですが、この真っ直ぐな詠い方 は、嫌いではないです。 
 S音が一首に繰り返されているのも響いてきます。

  
 

題名:Re: 鑑賞2)  名前:くも 2010/08/28(土) 10:06 No.6146  操作

長谷川さんの読みの深さには、いつも敬服しております。


「本当に熊蝉はしゃあしゃあと鳴くんです」

ああ、そうなんですね。

ただ、イギリス人が
「犬は、バウワウって本当に鳴くんです」
って言っても、われわれは「わんわん」じゃないの?

ま、こうなります。

オノマトペって、聞くひとによって、
とうぜんちがって聞こえるし、
そもそも、言語で過不足なくものが言えることは、
言語の構造上、不可能ですから、
「ほんとうに・・する」という着地は、
万人が納得するものではないような気がします。


もちろん「本当にしゃあしゃあ鳴くことが歌の
オノマトペを肯定していく要素ではない」
と、じゅうじゅう御承知ではあるでしょうが、
「新生児もオギャアというよりは、しゃあしゃあと泣くんです」
と言われてしまうと、
それ以外の泣き方を否定するようにも聞こえます。

オノマトペはむつかしいんですね。

その音をそっくり真似できていればいいけれど
それはできない。

(だから、歌やメルヘン・詩の世界では、「ほんとうに」と言うのはないんじゃないでしょうか)


鶏ねむる村の東西南北をぼわーんぼわーんと桃の花見ゆ


桃の花は、ほんとうに「ぼわーん」と見えるんです、
とは、言えないでしょう。
むしろ、オノマトペは、いままでになかった「新しい発見」のもとに、存在するものではないかとおもいます。


この作品でも「しゃあしゃあ」がほんとに聞こえたのか、
そうなのか、ということを問題にしているのではなく、
この「しゃあしゃあ」が
「ほんとに作品の中でちゃんと機能しているか」
というところで語りあっているんだとおもうんです。


「犬は、バウワウなんて聞こえないわよね」なんて
平気で評として言う方がいます。(事実ですよ)

それが、いかに意味のないことかは、自明のことですね。

失礼な物言いでしたらご海容のほど。




題名:第56回選歌のご案内  名前:やねうらねこ@管理人 2010/08/25(水) 22:07 No.6116  操作



【第56回そののち歌会 選歌のご案内】

■選歌については、27日を〆切りにさせていただきます。

 【天】(1位)1首、【地】(2位)3首を選んでください。

 ※ 【天】は2点、【地】は1点とします。


■この<RES>から書いてください。

■28日に作者名ともっとも得点の高かった作品(天賞)を発表します。
 そのときに、あわせて一読選歌の結果も掲載したいと思います。

■選歌のご案内をさせていただきましたが、引き続き批評・鑑賞をお願いいたします。



  
 

題名:Re: 第56回選歌のご案内  名前:ぷよよん 2010/08/26(木) 00:14 No.6117  操作

【天】7)汝が夏の帆を掲ぐべし心室に鮮しき血の満ちてゆくとき

【地】1)オペ室のあかいランプがきえるまで いちょうらくようかぜふきやまず

【地】17)『誕生日』いちまいかしぐ住む部屋も住まざる部屋もおなじ詩の果て

【地】13)ひとしきり蝉の声々 ゆうやけにきみが足りない御室仁和寺


  
 

題名:Re: 第56回選歌のご案内  名前:くも 2010/08/26(木) 00:31 No.6118  操作

【天】4)ワックスの匂いかそけき教室の狭きこと懐かしくもかなし
【地】7)汝が夏の帆を掲ぐべし心室に鮮しき血の満ちてゆくとき
【地】2)熊蝉のしゃあしゃあと鳴く昼下がり分娩室に新命の声す
【地】12)腕より離されし時うばわるる心地のしたり 吾子オペ室に消ゆ


  
 

題名:Re: 第56回選歌のご案内  名前:やねうらねこ 2010/08/26(木) 06:09 No.6121  操作

【天】6)室温を一度あげれば穏やかな寝息のひとは闇にほどける
【地】1)オペ室のあかいランプがきえるまで いちょうらくようかぜふきやまず
【地】10)あなたまでとても遠い日しらしらと室外機より風闌けてゆく
【地】15)陽のささぬ沼ひとつあり赤と黒せめぐ花芯の生ふる暗室

  
 

題名:Re: 第56回選歌のご案内  名前:ふみまろ 2010/08/26(木) 08:28 No.6124  操作

【天】7)汝が夏の帆を掲ぐべし心室に鮮しき血の満ちてゆくとき
【地】1)オペ室のあかいランプがきえるまで いちょうらくようかぜふきやまず
【地】6)室温を一度あげれば穏やかな寝息のひとは闇にほどける
【地】8)季語のなき花のあふれる温室に歌ひらきゆけ終の十字架

  
 

題名:Re: 第56回選歌のご案内  名前:柳 蒼柳 2010/08/26(木) 08:47 No.6126  操作

{天}12)腕より離されし時うばわるる心地のしたり 吾子オペ室に消ゆ
{地}1)オペ室のあかいランプがきえるまで いちょうらくようかぜふきやまず
{地}7)汝が夏の帆を掲ぐべし心室に鮮しき血の満ちてゆくとき
{地}16)沈黙の夜にあなたが溶けぬようルームライトを灯してねむる

  
 

題名:Re: 第56回選歌のご案内  名前:紗都子 2010/08/26(木) 09:05 No.6127  操作

【天】7)汝が夏の帆を掲ぐべし心室に鮮しき血の満ちてゆくとき
【地】8)季語のなき花のあふれる温室に歌ひらきゆけ終の十字架
【地】10)あなたまでとても遠い日しらしらと室外機より風闌けてゆく
【地】16)沈黙の夜にあなたが溶けぬようルームライトを灯してねむる

  
 

題名:Re: 第56回選歌のご案内  名前: 2010/08/26(木) 09:29 No.6128  操作

【天】10)あなたまでとても遠い日しらしらと室外機より風闌けてゆく
【地】6)室温を一度あげれば穏やかな寝息のひとは闇にほどける
【地】7)汝が夏の帆を掲ぐべし心室に鮮しき血の満ちてゆくとき
【地】13)ひとしきり蝉の声々 ゆうやけにきみが足りない御室仁和寺

  
 

題名:Re: 第56回選歌のご案内  名前:紫苑 2010/08/26(木) 10:31 No.6129  操作

【天】7)汝が夏の帆を掲ぐべし心室に鮮しき血の満ちてゆくとき
【地】1)オペ室のあかいランプがきえるまで いちょうらくようかぜふきやまず
【地】8)季語のなき花のあふれる温室に歌ひらきゆけ終の十字架
【地】16)沈黙の夜にあなたが溶けぬようルームライトを灯してねむる

  
 

題名:Re: 第56回選歌のご案内  名前:ボブ 2010/08/26(木) 11:51 No.6130  操作

天】7)汝が夏の帆を掲ぐべし心室に鮮しき血の満ちてゆくとき

地】8)季語のなき花のあふれる温室に歌ひらきゆけ終の十字架

地】13)ひとしきり蝉の声々 ゆうやけにきみが足りない御室仁和寺

地】17)『誕生日』いちまいかしぐ住む部屋も住まざる部屋もおなじ詩の果て



  
 

題名:Re: 第56回選歌のご案内  名前:森川雅美 2010/08/26(木) 16:21 No.6131  操作

天】7)汝が夏の帆を掲ぐべし心室に鮮しき血の満ちてゆくとき

【地】6)室温を一度あげれば穏やかな寝息のひとは闇にほどける

【地】11)病院の待合室に加湿器の霧立ち込めてここは湿原

【地】13)ひとしきり蝉の声々 ゆうやけにきみが足りない御室仁和寺

  
 

題名:Re: 第56回選歌のご案内  名前:ゆるら 2010/08/26(木) 20:28 No.6132  操作

【天】16)沈黙の夜にあなたが溶けぬようルームライトを灯してねむる
【地】1)オペ室のあかいランプがきえるまで いちょうらくようかぜふきやまず
【地】6)室温を一度あげれば穏やかな寝息のひとは闇にほどける
【地】15)陽のささぬ沼ひとつあり赤と黒せめぐ花芯の生ふる暗室


  
 

題名:Re: 第56回選歌のご案内  名前:長谷川径子 2010/08/26(木) 21:32 No.6133  操作

【天】13)ひとしきり蝉の声々 ゆうやけにきみが足りない御室仁和寺

【地】2)熊蝉のしゃあしゃあと鳴く昼下がり分娩室に新命の声す
【地】5)いりまじる形而の上と君のこと図書室に蝶まからむ列へ
【地】9)見回せばアウシュビッツの心地せり喫煙室に群れ生す吾等


  
 

題名:Re: 第56回選歌のご案内  名前:ナカノフスキ 2010/08/26(木) 23:17 No.6134  操作

【天】6)室温を一度あげれば穏やかな寝息のひとは闇にほどける
【地】1)オペ室のあかいランプがきえるまで いちょうらくようかぜふきやまず
【地】10)あなたまでとても遠い日しらしらと室外機より風闌けてゆ
【地】13)ひとしきり蝉の声々 ゆうやけにきみが足りない御室仁和寺

  
 

題名:Re: 第56回選歌のご案内  名前:草蜉蝣 2010/08/27(金) 14:58 No.6138  操作

【天】7)汝が夏の帆を掲ぐべし心室に鮮しき血の満ちてゆくとき
【地】6)室温を一度あげれば穏やかな寝息のひとは闇にほどける
【地】10)あなたまでとても遠い日しらしらと室外機より風闌けてゆく
【地】13)ひとしきり蝉の声々 ゆうやけにきみが足りない御室仁和寺

  
 

題名:Re: 第56回選歌のご案内  名前:長嶋信 2010/08/27(金) 19:06 No.6142  操作

【天】6)室温を一度あげれば穏やかな寝息のひとは闇にほどける
【地】12)腕より離されし時うばわるる心地のしたり 吾子オペ室に消ゆ
【地】13)ひとしきり蝉の声々 ゆうやけにきみが足りない御室仁和寺
【地】16)沈黙の夜にあなたが溶けぬようルームライトを灯してねむる

  
 

題名:Re: 第56回選歌のご案内  名前:ツトム 2010/08/27(金) 22:58 No.6143  操作

【天】7)汝が夏の帆を掲ぐべし心室に鮮しき血の満ちてゆくとき

【地】8)季語のなき花のあふれる温室に歌ひらきゆけ終の十字架

【地】10)あなたまでとても遠い日しらしらと室外機より風闌けてゆく

【地】13)ひとしきり蝉の声々 ゆうやけにきみが足りない御室仁和寺


今回まったく歌評が書けませんでした。すみませんでした。



題名:鑑賞13)  名前:ふみまろ 2010/08/22(日) 13:29 No.6081  操作


13)ひとしきり蝉の声々 ゆうやけにきみが足りない御室仁和寺

吟行詠のような一首。
きみが足りないのは、きみと来る約束をしていたのか、それともかつてきみと来たことの回想なのか。

音楽でいう三部形式のような構成です。
情景を詠み、個人的事情を詠み、そして情景に戻る。
情景描写に費やす言葉を最小限におさえ、さらに感傷をさらしすぎることなく、しっとりとした上質な味わいがある歌だと思います。

固有名詞は難しいですが、結句に据えたことによりむしろ落ち着きがあるようです。二か所の体言止めもあまり気になりませんでした。

いかにも短歌らしい一首だと思います。

  
 

題名:Re: 鑑賞13)  名前:長谷川径子 2010/08/26(木) 08:02 No.6123  操作

13)ひとしきり蝉の声々 ゆうやけにきみが足りない御室仁和寺

軽やかなタッチが特徴の一首ですね。
ゆうやけにきみが足りない 簡単に言っていてなかなかでないしゃれた言い回しと思います。
 
御室仁和寺 も雰囲気のある地名です。

「ひとしきり蝉の声々」  「ひとしきりひぐらしの声」?
 あ、やりすぎですか。

  
 

題名:Re: 鑑賞13)  名前:長嶋信 2010/08/27(金) 18:52 No.6141  操作

しばらくの間、蝉が鳴き、鳴き止んだ後のしずけさの中で、何かの空しさを作中主体は感じたのでしょう。

最初はあまり惹かれませんでした。「ひとしきり蝉の声々」をよしとすべきかどうか判断できなかったからです。仮にそこをよしとすると、切実感がにじんでいてけっこういいなと思えてきました。一字空けの間隙が切実感を増幅しているかのようです。



題名:鑑賞14)  名前: 2010/08/24(火) 16:44 No.6107  操作


14)君入りしのちの浴室カランからあを色のみづふきだしやまず

最初は目に留まらなかったお歌でしたが、何度か読み返していると、不思議な感覚の歌だなあ・・・と感じるようになりました。

「カラン」というのは水道の蛇口のことですね。懐かしい言い方です。
素直に読むと、近しい誰かが入ったあとに主体がお風呂の戸をあけると、蛇口から出しっぱなしの水が勢いよく溢れていたことでしょうか。(理由は何なのかは想像しにくいですね)

「あを色」というのはよく分かりませんが、若さのようなものがどこかにありそう、かな・・・?

作者発表後に、自解をお聞きしてみたいような気がします。

内容から思うに、口語体でも良い感じが出せたんではないでしょうか?

  
 

題名:Re: 鑑賞14)  名前:くも 2010/08/25(水) 09:07 No.6114  操作

14)君入りしのちの浴室カランからあを色のみづふきだしやまず

わたしの師匠は、こういう作品に出合うと、
ほんとに素人くさいことを言うんです。

「この歌はへんですよ。君が入っていった浴室の水の色が
作者に見えているわけ? ということは、自分のいる浴室に、
君が入ってきて、シャワーをひねったら、青色の水が
噴出してきてとまんなくなっちゃったってこと?」

ま、こんなこと、間違いなく言いますね。
仲間のどらごんきゃっとさんは、こういうとき、
必ず言います。

「この歌はへんです。『君入りし』と過去形になっているのに、
『ふきだしやまず』と現在形になっている。こういうの
いいんですか?」って。

べつにだれがどう言おうともいいですけれど、
この歌には、そういう「なんか言われること」が
残存しています。

で、わたしが付け加えるなら、
下の句の「ふきだしやまず」に無理があること、
「・・・やまず」という言い方がすでに
使い古されていること、は言うまでもないことで、
また、「あを色」という個所に焦点があるようですが、
色遣いによる認識の早さ、
(わたしは色遣いによって認識を手放すのは、
表現者の無責的な表現逃避とみています)
と、もうひとつは、「美」の欠如、
このへんを指摘もうしあげたい。


この歌は、基本的に美しくありません。
(しんらつなもの言いですね、すみません)

碧さんが、自解を求めていらっしゃるけど、
わたしは、遠慮したいな。

あ、お風呂の戸をあける・・・
(碧さんの解説を読み直して)

それ以外、考えられないですね。

  
 

題名:Re: 鑑賞14)  名前:長嶋信 2010/08/27(金) 18:32 No.6140  操作

僕は、水道から出る水の色を「あを」と把握するのはいかがなものかと思います。くもさんのおっしゃる「美」の欠如ということと重なるかどうかは分かりませんが……。

水色という語がありますが、水の色が本当に水色であることは少ないでしょう。海水が青いというのは分かりますが。水の色は透明、あるいは背景となる浴室の壁の色、といった捉え方が叙景としては普通かと思います。

カランから噴出する水が青いと言わねばならぬ必然性が何かあるのでしょうか。作中主体の心情や、作中主体と「君」の関係が反映されているのでしょうか。そうだとしたら、かなり強引な表現だと思います。



題名:鑑賞9)  名前:ふみまろ 2010/08/21(土) 02:19 No.6039  操作


9)見回せばアウシュビッツの心地せり喫煙室に群れ生す吾等

なるほど。アウシュビッツとは面白い比喩だと思います。
ところで、その「アウシュビッツの心地」とはどんな心地なんでしょう?

作者を含めて読者の中にその心地を味わった人はいるのか、などと屁理屈かもしれませんが、「心地」というからにはそこに体験にもとづく共感性が欲しかったと思うのは私だけでしょうか?

アウシュビッツを生かすにはここはどうしたらいいんでしょうかね?単に映画の場面などに結び付けるだけではかえってつまらないかもしれないですし、これはなかなか取り扱いに骨の折れる語かもしれません。

歌の構造はしっかりしていると思います。これがたとえば、

喫煙室に群れ生す吾等見回せばアウシュビッツの心地するなり

とかでしたら、答えを先に言ってしまって興ざめだったろうと思います。その意味ではしっかり作られた歌といえるかもしれません。

  
 

題名:Re: 鑑賞9)  名前:森川雅美 2010/08/21(土) 10:51 No.6047  操作

アウシュビッツというのは少し大げさな比喩では。
そこがうまく伝わらない気がします。
ユーモアなのでしょうが、被害者というイメージが出てしまいます。

  
 

題名:Re: 鑑賞9)  名前:紫苑 2010/08/21(土) 11:35 No.6051  操作

アウシュビッツ。
譬えが重すぎて共感できませんでした。
ある意味、前回の歌会でも提起された
「取扱に注意が必要な語」だと思いますので。

  
 

題名:Re: 鑑賞9)  名前:やねうらねこ 2010/08/21(土) 13:53 No.6053  操作

 わたしも紫苑さんと同じように感じました。わたしの場合であれば、たぶんこういうかたちでは使わないと思います。
 きりとられている情景自体はいいショットであると思いますので残念です。

  
 

題名:Re: 鑑賞9)  名前:ボブ 2010/08/21(土) 17:40 No.6057  操作

そうですね。アウシュビッツという語にはかなり抵抗があります。
顔をあわせた気のおけない間柄での軽口でもない限り、いやたとえそうだとしてもこのような状況で使うべき言葉ではないように思えます。

情景としてはとてもよくわかる(喫煙者のわたしとしては)歌だけに、惜しいと思います。

  
 

題名:Re: 鑑賞9)  名前:ナカノフスキ 2010/08/22(日) 23:32 No.6086  操作

前回の流れを知ったうえで投稿されているはずなので、
なんらかの意図があるんだろうと読み込んでみたのですが、
やっぱり超えられないハードルがあるワードなんだと思います。

意図としては自分を含む喫煙者全体を対象にした
被虐行為なんだろうなと感じました。

  
 

題名:Re: 鑑賞9)  名前:くも 2010/08/23(月) 09:44 No.6099  操作

9)見回せばアウシュビッツの心地せり喫煙室に群れ生す吾等

見渡せば花ももみぢもなかりけり、

というのはありますが、「アウシュビッツ」ですか・・・。
うーん。ま、わたしは経験がありませんから。

アウシュビッツの経験のある方なら、
なんとおっしゃるでしょうか。

わたしたちは、
想像することができる生命体ですから、
未来も想定できます。想像してください。


日の丸はお子様ランチの旗なれば、
と「日の丸」をそう喩えた小池さんは
あの歌でかなり名を馳しましたけれど・・。

こと、この語は、とにかく、わたしは
そう気軽に使える言葉ではありません。

  
 

題名:Re: 鑑賞9)  名前:長谷川径子 2010/08/23(月) 23:49 No.6102  操作

9)見回せばアウシュビッツの心地せり喫煙室に群れ生す吾等

文学と「取扱に注意が必要な言葉」は悩ましいですね。例えば、この夏の猛暑を、きちがいじみた暑さと言うと、不適切になるという具合に。筒井康隆がペンを折った気持ちも解るところです。
ロシア文学、トルストイやドストエフスキーには、不適切語がいっぱいでてきます。「白痴」は題名ですし。

でも、表現として裡から生き物のように言葉は顔を出します。

紐育空爆之図の壮快よ、われらかく長くながく待ちゐき   /大辻隆弘『デブス』

詠ってしまうことはあります。そして、叩かれて、・・・
言葉は、両面の顔を持ちます。一面を捉えて、非難されますが、一面では、歴史的事実として、負を負として認識し、ザラッとした表現が歴史の再認識を問うこともあります。
アウシュビッツは痛い言葉です。
作者は、喫煙室にいて、過去の不幸な歴史に思いを馳せたのだろうと思います。タバコを吸うだけで、負の痛みを負ったのだろうと善解したいです。

歌会でも、原爆の歌や、戦争の歌の表現で、詠みと読みとの温度差があり、あわや人格否定論にもなりそうな場面があります。
あと、選歌からはずされる可能性は大です。
でも、アウシュビッツも、先の大戦も詠み継がれることは一価値あるのではないでしょうか。

先回の歌会の、八月六日 の歌もいろいろと考えさせる歌だったです。

  
 

題名:Re: 鑑賞9)  名前:ぷよよん 2010/08/24(火) 21:35 No.6109  操作

福島泰樹

▼枝のように尖りてほそくたちならぶ人間の森アウシュビッツは

秋山佐和子『晩夏の記』

▼アウシュビッツに曳かれゆきたる汝が民を語らず別れき雪積もる夜半


なかなか難しい問題に思います。

  
 

題名:Re: 鑑賞9)  名前: 2010/08/24(火) 21:56 No.6111  操作

○ 老いは一つのアウシュビッツである故に逃れがたかりガスに死ぬまで      岡井 隆


長谷川径子さんのコメントを、とてもずっしりと深く読ませていただきました。

  
 

題名:Re: 鑑賞9)  名前:長谷川径子 2010/08/24(火) 21:52 No.6112  操作


ガス室の仕事の合ひ間公園のスワンを見せに行つたであらう (『廃駅』昭和57)   小池 光

  
 

題名:Re: 鑑賞9)  名前:長嶋信 2010/08/27(金) 18:14 No.6139  操作

ナカノフスキさんのコメントから、喫煙者の被虐ということを思いました。

健康増進法施行による受動喫煙の防止の取り組みがあちこちでなされています。ガラス張りの四畳半くらいのスペースに白い煙を充満させつつ、所狭しと喫煙者たちがタバコをふかしている風景がよくみられます。かつてに比べると肩身の狭いことと思います。喫煙者であるところの作中主体は喫煙スペースの中にいて、苦々しい思いをして迫害されたユダヤ人という人種のことを思ったのかもしれません。

でも、僕もアウシュビッツという語の使用にはやや否定的です。詠われている内容は、非喫煙者たる僕もどこか共感してしまうくらい良いものがあると思うのですが。



題名:鑑賞7)  名前:ふみまろ 2010/08/22(日) 01:56 No.6067  操作


7)汝が夏の帆を掲ぐべし心室に鮮しき血の満ちてゆくとき

夏は命の象徴ですね。「帆を掲ぐ」という比喩は実に力強くまた美しい。

手術における輸血のシーンでしょうか。
鮮やかな赤色とあいまって、心拍の音まで聞こえてきそうです。なんとも生命力にあふれた素晴らしい賛歌だと思います。

  
 

題名:Re: 鑑賞7)  名前:やねうらねこ 2010/08/22(日) 05:08 No.6069  操作

 今回はなぜか病院に関係する作品が多いですね。
 病気の手術をされて回復された方にエールを送っている作品だろうと思います。最初、わかりやすく表現もまとまっているように思ったのですが、だんだんと「夏の帆を掲ぐ」や「〜べし」という言い回しは少し前のめりで浮いている感じがしてきました。

 「鮮しき血の」はどう読むのでしょうか。ふつうに読めば(あざしきちの)になって六音でリズムが悪いと思うのですが…、

 それと、どうでもよいことかもしれませんが、心室には右心室・左心室があって、きれいな血という意味では左心室ということもあります。お題のことがなければ、「心室」といういい方よりも「心臓」や「体内」くらいの方がぴったりきたかもしれないと思いました。

 でも構成もいいと思いますし、わかりやすく気持ちの通じる作品だと思います。

  
 

題名:Re: 鑑賞7)  名前:紫苑 2010/08/22(日) 07:13 No.6071  操作

「鮮しき」については何首か使われている歌があるようです。

かなしみの古歌鮮しき夏の夜を酒波立てて蚊が溺れいる(佐佐木幸綱)
雪溶くる水の音多し石南木の鮮しき花は谿を埋めつ(川田順)
鮮しき猪首ささげ手をふれば〈おうよ〉と山の神はうなづく(小黒世茂)

いずれもルビがないのではっきりとはわかりませんが
「あたらしき」と読ませるのではないでしょうか。

内容についてお二人が仰っているように術後を詠んだものだとすれば
大きな手術を乗り越えた方への応援歌と読めるでしょう。
「心室に鮮しき血の満ちてゆく」を比喩と取れば、何か新しいことに向かっていくなど、気持ちを前向きに解放するさまでしょうか。
いずれにせよ、やねうらねこさんの仰るとおり、気持ちの通じやすい歌だと思います。

  
 

題名:Re: 鑑賞7)  名前:紗都子 2010/08/22(日) 09:38 No.6076  操作

私は、この歌から特に病のことは感じませんでした。
力強く血液を送り出す自らの心室をイメージして詠まれた歌ではないかと思いました。
病後を詠んだのだとしても「夏の帆」が爽やかな印象で気持ちのいい歌になっていると思います。
眩しいような生命力が感じられて好きな歌です。
「鮮しき」は紫苑さんが仰るように「あたらしき」と読むのだと思います。

  
 

題名:Re: 鑑賞7)  名前:ぷよよん 2010/08/22(日) 10:21 No.6078  操作

7)汝が夏の帆を掲ぐべし心室に鮮しき血の満ちてゆくとき


わたしはみなさんとまったく違う読みをしていました。

力強い相聞歌だと思いとても魅力を感じておりました。

この『べし』『夏の帆』の語の感触や強さ『鮮しき』『満ちる』のポジティブさ。

押し付けがましさもさほどなく力強くていいと思いました。

大陸系のおおらかで明るい情熱を地か強くさわやかに詠まれていて好きな一首です。

ちなみに私も『あたらしき』と読んでいました。



  
 

題名:Re: 鑑賞7)  名前:ボブ 2010/08/22(日) 12:08 No.6079  操作

7)汝が夏の帆を掲ぐべし心室に鮮しき血の満ちてゆくとき


紫苑さんが佐佐木幸綱さんの歌を例にあげておられましたが、まさに力強く雄々しい歌いぶりで、男歌の感じがします。(作者さんがもし女性でしたら、ごめんなさい)

相聞というご意見も頷けます。
夏という季節は生命力に溢れた思いを感じさせますね。

風格もあり素晴らしい歌だと思います。惹かれます。

わたしも『あたらしき』と読みました。自分でもそう使ったことがあるので、素直に入りましたが。


  
 

題名:Re: 鑑賞7)  名前:ナカノフスキ 2010/08/22(日) 23:52 No.6088  操作

「夏だしいっちょやったるか」くらいの意図を
内臓の描写で表現されていると読み、
とても面白い詩だなと思っていました。

皆さんの評を見て、ちょっと浅い読みだったかもと
一時、思いましたが、何度読み直しても残る
すかっとした雰囲気を見るに、
そう間違ってもない読み方かなとも思っております。

  
 

題名:Re: 鑑賞7)  名前:くも 2010/08/23(月) 09:35 No.6098  操作

7)汝が夏の帆を掲ぐべし心室に鮮しき血の満ちてゆくとき

あ、いい歌だ。一読のときすみません読みすごしました。

「ゆくとき」がまずいんだな、きっと。

  
 

題名:Re: 鑑賞7)  名前:草蜉蝣 2010/08/27(金) 12:50 No.6137  操作

7)汝が夏の帆を掲ぐべし心室に鮮しき血の満ちてゆくとき

「汝が夏の帆を掲ぐべし」と夏の青い空や海を連想させて一転
「心室に鮮しき血の満ちてゆくとき」と赤い色を思わせてるところ
無理もなくすんなりといっているところなんかもすごくいいなと思う。
わたしも相聞歌だと読んでいます。


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