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* 虎ノ穴

日時: 2010/01/24 00:42 メンテ
名前: ざ・T(♂)

ぉぅぃぇ

何を血迷ったのか活動再開。

とはいっても、更新ペースはいつも通り。今まで通り超スローペース。

の、つもり。 もにもにチェーンソー。


【お知らせ】
感想は感想スレへですってよ、奥さん

誤字脱字の方も感想スレへお願いです。
ご一報下さった方には漏れなく、自分が貴方様がお住まいだろうと思う方向に向って感謝の祈りを捧げます。

【今後の方針】
昔書いてた話をそれなりに手直ししたり、リメイクしたりして投稿のつもり

手直しとかリメイクとかリテイクとかの違いがよくわからない

某所に投稿していた極短編を適当に手直しして再掲載

単発モノを短編スレへ、続き物を本スレへ投稿のつもり

【更新履歴】
5/16:深夜 なんとなくリスタート。何度目だっけか?
5/16:昼  ちくちく修正。更新履歴追加したり、『夏への扉』を区切ったり。主に>>0をいじいじ
6/04:夜  ルドルフの三話目を追加
10年
1/24:3深夜 カエデの三話目を追加

【目次】
『火』と書いて『カエデ』と読ますシリーズ
 >>1 >>2 >>3 >>7
繋がるだけ繋げてみた >>1-3

『ルドルフ』
>>4  >>5 >>6 >>4-6


 
Page: [1]
* Re: −火編 #0− ( No.1 )
日時: 2009/05/16 01:12 メンテ
名前: ざ・T(♂)

ココハドコ……
アタシワ…ダレ……?
イマ…ナンジ…
アノヒトハ……ド…コ……――


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・・・・・・



『カエデ』と呼ばれた女の子 プロローグ


「脳波正常、呼吸脈拍―、共に異常なし。体温――適温維持…… 何時も通りだな。」
相棒が、今もベッドに横たわる少女の容態を告げる。
「やっぱ今日も起きないか……」

二年と、数ヶ月前にこの“国立生体保全大学研究病院”という長ったらしくて嫌になりそうな名前の病院に運ばれてきて以来、純白のベッドに横たわる少女は一度も目を覚まさない。
というよりも、運ばれてきた当初は全身に――それこそ一箇所で致命傷にすら値するほどの――重症を多数負っており、
生きていることそのものが奇跡のような体にこの施設随一の先生方が何人、何時間とへばり付いて手術を行い
奇跡のような奇跡の果てに辛うじて生きながらえることが出来たのだ。
誰もが壮絶な手術に無事耐え切った少女を賞賛し なおかつ先生方にも十分すぎるほどの栄誉が約束されたのだが、
……いかんせん少女が目を覚まさない。
当然、体力の限界が近いのだろうという結論に陥り しばらく安静が決まったのだが、3日4日はともかく二週間経っても目を覚まさないとはどういうことか?

真っ先に、『医師達の手術ミスだ』と『少女の生命力が限界に達したのだ』という二つの意見が立ち上がり
なるべく少女に負担を掛けない方法で何度と無く精密検査が行われたのだが――
――結論から言えば先生達の手術は間違いなく成功で、しばらくの後『少女の――』の方の意見で病院内が統一された……
彼女の世話を命じられた僕と、同じチームの友人達数人を除いてだけど。

理由はきわめて単純で、少女が一度だけ口にした寝言
「ドコニ… イルノ…」 に由来する。
僕と悪ノリが好きな友人達――病院内で“腹黒チーム”と影の称号を頂く我が戦友たちが――実質、僕がサブリーダーだったりするけど――この台詞から考えたのは
『ひょっとして それはギャグで(ry
では無く
『ひょっとして誰かを待っている(探している)のでは――?』
である。

ただ、読者達には此処で一つ当然の疑問が持ち上がるであろう
何故この悪ノリ野朗黒チームに未知なる少女の世話が任せられたのか
それは、我々の成して来た数々の戦績によって謎解かれることになるのだ。
まず、僕たちは常人たちでは考え付かないような『新発見』を数限りなくしてきた。
例えば―― 受付のおねえさんが眼帯をつけているのは、実は昔傭兵だったとか、内科のヒロアサ先生は超の付くロリコンだったとか
さらには、中庭の雑草駆除にはキノムラ(腹黒チーム@首領)の唾液に含まれる謎の成分が有効である……等々

しかも、(ココ重要!)僕はレポートを纏めるのが得意で――実はこっそり小説なんかも書いている――我がチームの研究の成果をキッチリとレポートに記しているので
意外な発見が各先生方や病院内に伝わり、新たなる研究成果に繋がったりもしちゃったりしているわけで、
まぁ、結局のところ『こいつ等ならイロイロと少女にチョッカイだしたあげくに起こしてくれるかも』という期待を一身に背負わされたわけである。

しかしながら我々とて健全なる青年集団、当然の如く獲物のように差し出された――しかも細菌とか病気とかに感染してない完全な健康体であると証明された上に、無防備に寝ている!!――少女に興奮しないわけが無く、
『肉体年齢はまだ9歳前後だぜ!?それってロリコン街道まっしぐらじゃね!?』という腹黒団員Dの制止も無視して襲い掛か……ゲフン、少女の体をくまなく、徹底的に調べつくそうとしたわけだが
このタイミングでちょうどさっきの寝言が飛び出たのである。

「ドコニ… イルノ…」 と。

そうなれば我々とて一応は大人、むやみに約束がされているかも知れない箇所に手を出すわけにもいかず、
結果的に――マトモに少女を目覚めさせる方法を模索しつつ、彼女の体長管理に励んでいるのである。
* Re: −火編 #1− ( No.2 )
日時: 2009/09/08 21:26 メンテ
名前: ざ・T(♂)

火編−#1 始まりは雪の夜−


……ナニヲソンナニサワイデイルノ……?
……ワタシハ、モウオワッタハズ
……………
……エ、マダワタシハイキテイルノ……?
……ナンデ……
……
………
………アノヒトトイッショニシンダハズダヨ?ワタシ


・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・


三月の上旬
まだまだ寒いこの時期に、誰が好き好んで職場なんぞへ向かおうか?
しかも窓の向こう側に雪とか降っちゃっていたりすると、いつにもまして心地よい眠気と共に、暖かな布団へ籠もって篭城を開始したくなる。
無論、篭城と言うからには敵は居るもので、それは仕事に対する義務感や、上司とかお偉いさんが機嫌悪くなるとゆーよーなケチ臭いモノではなく
雪の日に限って超元気になる犬か、子供か、体は大人で頭が子供という、どこぞの名探偵の逆ヴぁーじょんのような人間である。

ただの犬や、ただの子供ならまだいい。逆コ○ンでも、大声出せば渋々引き上げるヤツならある程度は許容できる。

……だが、
人が寝てるのを知ってて窓をピッキングでこじ開け、顔面に大量の雪を積もらせて遊んでる肉体年齢23歳相手なら鉄拳をぶち込んでも誰も文句は言わないと思う、むしろ言わせない。

でぇい紹介しよう!!今僕の目の前で、イタズラが成功したのがうれしいのか満面の笑みを浮べながら舞とか踊りまくっているこのクソッタレ野朗は
腹黒チームの首領・キノムラリュウキ 漢字で書くと木野村龍樹。
色素が薄くやや茶色係った髪に、整った鼻筋。アーモンド型のやや切れ長の瞳と口元には常に笑みを湛えていて、世が言う男前である。
さらに、すらりと長く伸びた足も交えて絶妙のバランスを叩きだし、某“眠らない町”とやらに繰り出せばあっと言う間に数十人の女をお持ち帰りィィィィィィィ!!!できる容姿の持ち主でもある。ぶっちゃけ羨ましくないと言えば嘘になる。
しかし、その内面は腐って腐りに腐りきっても腹黒チームの総団長。自己の快楽を何よりも優先する傾向が非常に、ひっじょーに強く、
飯関連以外の集合時間を守ることはほぼありえない。以上、説明終了!!

「そのキレイな顔をフッ飛ばしてやる!!」
あくまでコレは安眠を妨害してくるテロリズムへの正当防衛なのだ、よって問題などちっともないのだと何かに言い聞かせながら(注:あります)
本体、弾共に丸二日の徹夜で極悪改造を施した我が愛銃(エアガン)を不法侵入してきた人間に照準して、引き金を引きまくる。
『無駄にクオリティ上げてないで普通に本物買えよ!』ってツッコミを入れた奴、ちょっと表へ出ろ。
ついでに、この国じゃエアガンの改造は特に規制されていないから法律的に無・問・題ッ!!
……本当だぞ?だってSFだし小説だし(禁句
しかし、相手がマトリークスッなんていいながら体を物凄い勢いで左右に揺らしてたりしてるうちは手塩に掛けまくったエアガンでもなかなか当たらないものだな。

――だが、的が「フハハハハハ!!我にはフォースのご加護がごにゃあ゛!!」
などと言い始めた以上、首カクカクも全身カクカクも停止するので、面白いようにバンバンと弾が当りまくる。
「ぬぎゅ!げほぁ!ぐふぅ!あぅん!ひでぶっ!!」
「どうした!?避けないのか!?そんなものかスネ○ク!!!」
「いや、コレはコレでなんかkゴフゥッ!…き、効いたぜェ…ぎゃひぃ!?」
「悪霊退散!!悪霊退散!!!」
以下、グダグダにつき省略


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・・・・・・・・・・・・・・・・

ま、そんなこんなでどうにか団長を部屋から叩きだした後、適当な私服に着替え
顔洗って、寝癖をチェック、そのまま朝の日課を一通り終わらせると、上からお気に入りのコートを羽織り、自室を出てドアに鍵をかける。
扉一枚隔てただけで気温が10度違う世界が広がっているとはついさっきまで実感できなかったが、しっかりと目を覚ました今なら実感できる――即ち、寒いと
でも、お気に入りのコートは急に広がった5℃の世界から僕の体にしっかりと体温を引き止めててくれる。
このコートにはちょっとした秘密があるのだけれど、ソレはまだしばらく先の話
この冬を切欠に新しく購入したブーツで、今出てきたばかりの部屋を後にする。

我等が職場は本棟を入院患者専用の病棟三つが囲い、口の字型が正面ロータリーから裏庭、職員用の宿、か●ぽの宿、倉庫にいろんな実験棟といった従属たちを広大な敷地の中心から眺める建物だ。
その地味かつド派手なインパクトに気圧されて、初めて訪れる子供に取り返しのつかないトラウマを刻むことも在るけれど、
(例:某男性の台詞 「何も言うな!私は怖かったんだ!!」)
置いといて、と
実際は、外科内科小児科眼科産婦人科その他一式全部の病院が合体してさらに変な研究室やら何やらが合体しまくった挙句 空き部屋に浮浪者が住みついたり院長の趣味の部屋がそこらかしこに在ったりしちゃったりしちゃったりする、
身も蓋も無い言い方をすれば、意味不明な建物なのである。
でも、一応は病院なので――その上建前ではこの地方最大の病院とゆーことになってる――
つまるところ、救急入り口や夜勤専用口、受付、総合案内所、院長室に迷子センターといった基本装備はしっかり1Fに整備されてるし、
2〜5Fにはそれぞれの病院施設に、対応した事務室と関連職員の休憩室、ロッカールームやタイムボードといった基本装備と大小二つの会議室が備えられて
6Fから上は急患で入ってきたり、特別な注文がついたりして病院として特に重要視される院患者用の病室になっており、最上階は会議室とホール、展望室が占めている。

……一応はしっかりした建物なのである、一応はネ

ただ、内部の人間になったとたんに面白いことが沢山見つかるのだ
個人的な研究室が男子便所と女子便所を隔てる約1mほどのコンクリの中にコッソリ作られてたり、天井裏を使っていろんなところへショートカットできたり、
消火栓の扉がまるごと開いて、その向こうが大統領クラスの核シェルターだったり、
果ては何処の変態が作ったのか知らないが、2LDKの『部屋ごとバンジージャンプ』なんて設備も――ちゃっかりシートベルトと座席も就いてるので比較的安全――あるので、やっぱり意味不明な建物だと断言できる。
ちなみに、研究室の類は衛生面や安全面の都合で全て地下通路や渡り廊下で繋がった別棟に配置されているから、本棟がいきなり変な生物に襲撃されたりと言うことは多分無い……と思う、無いハズ、
無かったら良いなぁ……ごめんちょっと自信ない。

ま、そんなこんな語ってる内に僕の職場へ到着。2Fの東寄りに在る外科事務室だ。
とは言っても、最近事務の仕事は後回し気味。何故なら僕には病院から一人の少女を叩き起こすという一大重要使命を授かっているのだから。
「(これを最大限に利用してイヤーな事務作業から一時でも長くサボらなくてどうするよ?もう徹底的にサボっちゃいますよ)」
などと思いつつ、いつも通りちゃちゃっと出勤手続きを終わらせてロッカールームへ

コートを脱ぎ、腹黒団謹製ホンワカ暖房機能が服の裏地に装備された制服に着替え、名札を左胸に止める。
このホンワカ暖房機能――通称ホンワカ君3号、それは腹黒団が着替えたばかりの冷たい服をどうにかしたいと考えて作り上げた代物で、コレが病院職員に人気爆発
最初は難しい顔してたお偉いさんも、「奇跡が起きて騙されたと思い、試しに着てみてください」攻撃で揺らいだ精神に「寒い時期に冷たい服に着替えるのはお嫌でしょう?」と、
ホンワカ君3号の威力をお見舞いしながら囁いたところ黙認を開始したと言う冬にありがたい代物だ。入院患者も顧客視野に入れて今では腹黒団のちょっとした資金源の一つになっているのだがソレはソレ。

ロッカールームを出た僕は、同じ事務室の同僚に適当に挨拶しながら部屋の外へ向かう。
これから行くところが、今の僕の職場だ。

本館6F1582号室、――イチゴパンツと覚えましょう――眠れる少女のお部屋

2Fに限らず各フロアに2機ずつあるエレベータの内一機はお客さん専用で、主に建物の中央の端っこに設置、
もう一機は職員専用でこっちは端っこの端っこ……素直に言うと南東の角のところに設置されている。
その内の一機、職員用のエレベーターで2Fから一気に6Fへ移動
長い通路をホイホイ歩いて――途中の詰め所にもちょっとだけ顔を出して――から談話コーナー(ほら、よく待合室とかで新聞とか置いてあるじゃん?アレの1ランク上っぽい部屋)
の斜向かいの部屋が少女の眠る1582号室、通称イチゴパンツ部屋
少女にはモチロン、きっとうちの団員だろうなぁ誰かがイチゴ柄のパンツを穿かせている。

「さて、今日も適当に少女を起こす方法考えますかぁ」
そう小さくつぶやきつつ、ドアの取っ手に手をかけ、ゆっくり開くと……
「やらないか? ウホッ、良い男 いいのか?ホイホイついてきちまって 俺はノンケでも(ry」
首にネギ巻いた男が、聞いてて生理的に受け付けない言葉を呪文の如くいたいけな少女の耳元で呟いていた。……ってちょいマテ
「何やっとンじゃおどりゃわァァァァ!?」
思わずパシィンと良い音を響かせながら標準装備のハリセンで後頭部を張り倒す。
「いや、こうやって思いっきりボケていれば少女が突然目を覚まして突っ込みを入れてくれるかと期待していたのだが…」
「ミョーな期待をするんぢゃない、それにもしもその呪文で少女が普通におきたらどうするよ?しかも記念すべき第一声が『アッー!!』だったらお前皆からハリセンで打った叩かれるぞ。」
「ふうむ、それは痛いな……よし、もっとデンジャーにいくぜ!」
「普通に行け!!」

うちの団員は全員、突っ込み用のハリセンを装備している
これは誰もがボケと突っ込みを行えるという明確な印である。
なかでも、何故か最近僕だけ突っ込みの割合が多い事実には突っ込まないでくれ、ちょっと気にしてるんだ。

「ああ、そういえばさっき団長が来て心電図をいじってたぞぃ、なんでも平常値が3分以上続くと愉快なラインが描かれるらしい。」
見れば、心電図は先ほどから何故か僕の顔を描いている……これは僕の顔が愉快だとでも言いたいのか?
いや、きっとそうだろう。次に会ったらシャイニングウィザードでも食らわせておこうか。
ま、それはそれとして
「ふむむ、奴ならやりかねんな。っていうか、それだともしものことが起きたときどうするよ?」
とりあえず、会話に戻る
「まぁ、大丈夫だろ。正常な値を少しでも外れると真面目な心電図に戻るゆーてたからな。」
「おk、把握した。」
よかった、奴にも医者としての第一線くらいは在るようだ。
まもっとも、奴にとって死んだら面白くなくなるくらいの実感しかないんだろうが、それでも人の命が重いことは分かっているだけで人間としては合格だ。近頃は平気で他人の命を弄ぶ輩がいるから困る困る。

「ちなみに、心臓の停止を心電図が確認し次第、院長の趣味の部屋がいくつかと、我等が同志の誰かの部屋が無断で吹っ飛ぶことになってるらしい、昨日変な箱状のものをいくつか持ち歩いてたから、
きっとコレの下準備だったんだろうな。……ところで、さっきから微かに漂ってるこのアーモンドの実みたいな匂いってなんだろう?」

……前言撤回!!やっぱ人間不合格だ!!!
* Re: −火編 #2− ( No.3 )
日時: 2009/06/14 23:50 メンテ
名前: ざ・T(♂)

火編−#2 迫り来る腐の気配−

「体温低下!波形がフラットに固定されつつあります!」「ちくそッ!やはり駄目だったのか!?」「あきらめるな!……!!」
「ッ! 脳波!回復に向います!!」「なんでこの状態から持ち直す!?」「考えるのは後だ!人工血漿の追加用意!急げ!!」

「まだ生きてるんだ!絶対に助けるぞ!!」

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・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・


ネギ巻き団員と二人で仲良く協力プレイ。赤い帽子をかぶってヒゲを生やした配管工のオヤジを描いていた心電図の電源を強制切断、
ちょっと必死こいて少女を病室の外に連れ出すと同時にネギ男が扉を閉める。――直後、複数のゆれのような衝撃と爆発音を感知、院長のものらしき悲鳴も聞こえたような気がしたが、
あのひとは歳の割りに意外と不死身キャラだから大丈夫だろう。万事解決、良かったよかった――…

「…――って、んなわけあるかッ!!!」

まったく、今回は流石に呆れ果てた。
いくらアイツでも、まさか身動きの取れない少女の病室に青酸を仕込み、少女自身を時限爆弾のタイマーに組み込むとは予想外だ。
もしも今、花粉症で鼻が死んでる僕のかわりにネギが青酸ガス特有の甘酸っぱいアーモンド臭に気づかなければ、皆纏めて御陀仏だっただろう。助かるには毒の摂取から数分以内に拮抗剤である
亜硝酸ナトリウム、亜硝酸アミル、チオ硫酸ナトリウムのいずれかの注射もしくは吸入が不可欠、だけど、摂取量が微量っぽいからなるべく高濃度の(100%を強く推奨だけど)酸素に当てるくらいでいいだろう。
とりあえず応急処置としてこのまま談話コーナーまで行き、一番窓際のイスに少女を横たえておこうか。

さて、今口笛なんぞ吹いている首にネギを巻いたこの男、本名をペーター・シュトゥリンガーと言うんだけど、呼びにくい名前だから皆から『ペーター』を基準に呼ばれている。
偶に『リングマン』なんて呼ぶ人も居れば、前に一度だけ『航空母艦』と呼ばれてたのを見かけたことも。そろそろ20代後半だけど、未だ青春爆裂中。
耳に被り、眉毛の3cm上と肩の上でそれぞれ適当に切られ、ついでにいかにも外人な名前も裏切った黒髪に中肉中背と完璧な日本人の装備を身に纏いつつ、青い瞳の顔だけはドイツ人
本人曰く風邪を引きやすい体質で、首にネギを巻いているのは古くから伝わる風邪の治療法だからだとか。
おかげで今持っている服には一つの例外もなくネギの特有な刺激臭が染み付いてしまったのが目下の悩みらしいが、それはそれでおいしいキャラなので諦めてもらおう。
ちなみに、首に臭いを放つネギを巻いているのにも関わらず常人よりも優れた嗅覚を持つ奇妙さは、どこかの暇人が集計した院内七不思議のひとつにいつの間にか数えられていた。

「フーンフフーンフーンフーンフーン♪フーンフフーンフーンフーンフーン♪」
ネギ団員ことペーターがいつのまにか口笛から切り替えていた鼻歌を歌いながら窓に片手をつき、もう片方の手で額の汗を拭っている。まるで一仕事終えたあとのオッサンか
朝練のジョギングが終わったばかりの高校生のようで、いやぁいい運動したなぁ、なんて言葉が何処からとも無く聞こえてきそうだ。
「いやぁ、良い運動したなぁ朝っぱらから。」
ほんとに言いやがったよコイツ。
「言うほど激しい運動でもなかっただろうが……。」
「いやいや、25過ぎのオッサンにはこの、チームワーク溢れる運動は結構ハードなのだよ、はっはっは」
「白々しい笑いは他所でやれぃ。」
「うぃーっす。」

ところで、僕たちは自分達の事を『腹黒団』って呼んでるけど、もともと僕たちの集まりに名前など無かった。
なんとなく気の合う人が何となく集まって何となく愉快しているうちに病院関係者から腹黒団と呼ばれるようになり、気が付いたら自分達でもそれを自称していた――
つまりは、丸々パクr……ゲフン、インスパイアしたってこだネ!皆が名付け親ってことだネ!素晴しいネ!エクセレントだネ!っと、こんなものかな。
構成員は、自分の事を総帥とか首領とか団長とか少佐とか呼ぶように要求するバカ約一名を筆頭に、代表戸締り役――副長なんて言われてる僕、そこのネギ男、対有機生命なんとかかんとかを彷彿させる腐女子と団員の食事に毒を盛る姐御以下てきとーに、みんなそろって濃い濃い真っ黒クロスケ保障済み。
まったくもって何でウチの連中ってばココに入れたんだろうかとつくづく不思議に思うけど、受付の眼帯お姉さんに始まり、自殺願望が強い内科事務室長やら虚弱体質の眼科の新米等々ヒラから院長に至るまでずらりと変人がこの病院にはそろってるから今更不思議がってもしょうがない感じ。
……裏を返せば、我らは一騎当千の古強者であると想像して100万と一人の軍集団――や、別に一個大隊もいないけど――は、その奇人変人の巣窟とも呼べる病院内でも一際目立つ
変態集団だと言える。……少し照れるなぁ。

「あぁ、そういえば」
窓から吹き込む風を堪能していたネギが、唐突に話題を切り出した。
「どったね?」
「ミナトが、急がなくてもイイから近い内に直接話したいことがあるんだそうな。お前と、二人っきりで。」
どうやら、団員の一人――ぶっちゃけて言うと、さっき言った腐女子――からお呼びがかかったらしい。
「ほう」
どこぞの過激な神父さんのように横顔で返事をしてみる。ついでにもうちょっと渋い声を出した方がよかったか
「38点。」
「無駄にシビアだなオイ」
「んで、呼び出しの内容ってばどんなのだと思う?」
「正直しらんがな。」
「ふむ……俺は多分告白の類だと思うんだが」
「それは無いわー」
「アフリカではよくあること」
「あるあr……ねーよ(笑)」
実際僕は、彼女に恋愛感情そのものを抱いたことはないからなぁ。
っつーか、その辺はこのネギ野朗も分かってて言ってるのはお互い理解している。
ただ、突然後ろに、よくあるパイプ椅子と本とセットで座ったまま現れてウフフ笑いをされたこととか、眼鏡の反射でこちらから奥の目が見えない角度に眼鏡を調整したうえでもう一度ウフフ笑いをされたこととか、妙に粗い息を感じたんで焦って後ろ振り向いたらさっきまでそこに居なかったはずの彼女にパイプ椅子に静かに座ったままこちらに顔を向けて「……何?」とか言われたこととか、天井裏とか壁の中とかから荒い息遣いが聞こえたんでその方向を向いておかしいなと思った直後に後ろにミナトが公園とかにおいてありそうなベンチにリラックスした感じで座ってたこととか結構あるけど、恋愛感情は抱かれてないと……

――ミナトが、二人っきりで話したいことがある――

――ッ!!
今!ものッソイ寒気を感じたッ!!極デカのアナコンダにアマガエルが睨まれたら時、きっとこんな寒気がッ冷たい何かが背筋を駆け上って全身が凍りつくに違いない。ヤベェ!襲われるッ!!いや待て落ち着くんだ俺ッ!そうさミナトと二人っきりで話したことだって今まで何度もあるジャマイカ。ナニを今更素数だ、素数を数えるんだ、まぬけな数字は僕を慰めてくれる……素数って何故間抜けなんだ?そもそも素数って何だ?ダメだッ数えられんッ!素数を数えて何のためになるんだ!

「おーおー見事に狼狽えとるのぉ。……命短し恋せよ乙女。」
「洒落にならんッ!」
「少年よ大志を抱け。」
「この場合の大志の定義を150文字以内で説明しろ」
「ん、具体的にはハーレムEND。」
「一歩間違えたら刺されるわッ!っつーか刺されるフラグへ強制誘導されるし!」
「まぁ気にするな。ココは病院だからな、その手の処理のプロ集団だぞ?ドンと構えとけって」
「安心できねェよ!むしろその後の処理まで安心できすぎて怖い!」
「男は度胸、なんでも試して」
「みる気はさらさら無いっ!」
「AHA―HA!」
「親指立てるなスマイルすんな歯ぁ見せんな!」
「万歳三唱を!さぁお手を拝借!!」
「ちっともめでたくないわッ!!」
「みんなもやってみようよ!せーのっ」
「らん☆らん☆るー!ってやらせんなボケッェェェ!!」

……とりあえずパシッと小気味良くペーターの後頭部をハリセンでぶっ叩いてその場の空気を強制終了とかさせてみた僕の判断は間違ってなかったと思う……。
* 黒猫と夏への扉 ( No.4 )
日時: 2009/06/04 21:37 メンテ
名前: ざ・T(♂)

飼っていた猫が死んだ――。
名前は『ルドルフ』。いい猫だった。
金色の瞳と白い手の先以外は全身真っ黒の黒猫だったが、その愛くるしさは何物にも代えがたい。
ちょこまかと動き回ってはタンスの上に飛び乗ったり、テーブルの上で暴れたりと活発で、よく家政婦(メイドサーヴァント)を困らせていたが、彼女達もルドルフに癒されていたことは確かだ。
偶に近所に住んでいると思わしき野良の雌を連れ込んでは、屋根の上で日向ぼっこしたり、ベランダの手すりの上で丸くなっていたのだが、
やはりその場の付き合いだったのだろう同じ(私が判別できる範囲だが)雌をつれてくることは二度と無かった。
おそらく、女垂らしというか、スケコマシの才能でもあったのだろうと推測する。

毎日決まった時間決まった場所にエサが用意されることを知っていた彼は、その時間が来るたび、どんなことをしていてもすぐさま駆けつけた。それこそ、毛づくろいや昼寝をしていてもだ。
普段は台所のすぐそばにある天井近くの棚の中というルドルフ単体の力ではどう足掻いても取り出せない場所に彼専用のエサがしまってあるのだが、
その扉には、彼が懲りずに――果敢に、何度も挑戦した爪あとが文字通り残っている。
エサが器に盛られて運ばれてきたとき、『お座り』の姿勢で硬直し、首から上だけをシュッシュという擬音をつけたくなるような勢いで動かし、目の前の器を追いかける様は見ていて微笑ましかったし、
ルドルフにエサをやる当番が回ってくるたびメイド達はそろって彼の頭の動きを楽しんでいた。

何時の頃だったか、ルドルフがいつものように連れ込んだ雌と喧嘩になって、ボコボコにされて帰ってきたことがあった。
尻尾やわき腹、前足に顔といった部分部分から赤いラインを見せ付けるルドルフは、それでも何時ものようにひょうきんな足取りで館を歩いていたが、
メイドに見つかるたび悲鳴を上げられ、その都度飛び上がるように驚いてメイドから一刻も早く遠ざからんと疾走した。

彼との思い出はまだまだ数え切れないほどある。
事実、女中達の胸の中にもはちきれんばかりの感情が渦巻いているだろう。
ルドルフの葬儀は、メイド達の手で行われた。
屋敷の裏庭の片隅、人目につかない場所でひっそりと行うしかなかったが、この時ばかりはまともに祈りの言葉も掛けられない自分の地位に憤怒を覚えた。
私の代わりと思ってかメイド長が司祭のようなそぶりで祈りをルドルフの墓に捧げてくれたのは、正直ありがたかった。
私に出来るのは、ちぎれた花を彼の墓の上に落とすことだけだったからだ。
嗚呼、もう一度戻りたい。彼がうちへ住み着いていることに気づいたばかりの、あの夏へ……。
* Re: 黒猫人形との奇妙な生活 ( No.5 )
日時: 2009/05/16 00:57 メンテ
名前: ざ・T(♂)


私が父から受け継いだもの
それは富と、爵位と、屋敷と、土地と、誇りと、
古くから一族で仕えてくれているメイドサーヴァント達の所有権。
他にもいくらか在った気はするがよく覚えていない。
実際には途方も無いものなのだろうが文字にしてしまえば“たったこれだけ”でしかなく
反対に、私が自力で手に入れたものの方がわりと多かった。
だが、私が元々持たされていたものでも、自力で勝ち取ったものでもないものが
意外にも今一番強く私を支えていた……。

彼の――否、“それ”の名前は『ルドルフ』

古い友人から送られた、金色の瞳と白い手の先以外は全身真っ黒の黒猫人形である。

その友人曰く、欲望に忠実で好奇心旺盛な女垂らしだという小粋な設定を聞かされたとき思わずくすりと来るものがあったが、
その心意気を表してエントランスの階段の手すりの上をそれの指定席にした。
その女垂らしだという手腕にあやかりたいとの願いや、
人前で隠している欲望を丸出しで居たいと思う気持ちを重ねて
客人を迎える場所へさらけ出し、助平が招く家、というわけだ。
我ながら冗句が利いていると思う。

それを指定席へおいてスグに、メイド達の間で人気が爆発した。
いや、自分ではない。残念ながらルドルフのほうだ。
客人がおらず、なおかつ勤務時間中にできたわずかな暇や休憩時間に出向いては
頭を撫でるハウスメイドが急増しているとの通報をハウス・キーパーから受けたときには、
二重の意味で驚き、二重の意味でショックだった。

その旨を友人に訪ねたところ、どうやらルドルフは相当な癒しの力を発しているらしい。
成る程、日々働き詰めでは溜まるものもあるだろう。
かくいう私も煩雑な書類の整理や、あまり友好的でない客人の相手等で最近はやや気分が翳っていたところだ。
早速その夜、屋敷のものが皆寝静まった頃合を見計らって自室を抜け出し、
もしものときにそなえて待機しているレディメイドに悟られぬようこっそりと移動を行う。
……自分の屋敷で何をしているのだろうか。
などとも思ったが、あえて考えないことにした。おそらく考えるは敗北であろう。

少しなんともいえない気持ちになりながらエントランス、彼の指定席に辿り着いた。
さぁいざ!私を癒しておくれと言わんばかりの表情でその小さな頭へと右手を――
――差し出したところを、見回りのメイドに目撃された。

二人の間に非常にキマヅイ空気が流れる。
……ルドルフの目が悪戯好きの子供のように光った気がした。

とりあえずその場はなんとなくアイコンタクトで頷き合い、お互い別々の方向へ歩き出したが、
翌日からそのメイドとは顔を合わすたびに、うにゅろぉと言いたくなるような気持ちに悩まされることとなった。
友人に、ルドルフは悪戯好きなのかと訊ねたが、「よく知らん」と返された。

そんなこんな、そんな感じで、ルドルフが着てから我が屋敷の日々は
今までよりも少しだけ奇妙で、少しだけ愉快になった。

彼は今この瞬間も、階段の手すりの上で誇らしげに座っている。
* 黒猫人形の華麗なる一人暮らし ( No.6 )
日時: 2009/07/26 00:33 メンテ
名前: ざ・T(♂)

社交期も幾許か過ぎたとある日、久しぶりに祖父の屋敷を訪ねると
プレゼントだと言って1フィートほどの大きさの人形を譲り受けた。
良く手入れされていて、とても大事にされていたことが窺えたので名前があるのかと思い聞いてみたところ、

彼の名前は『ルドルフ』だと教えられた。

成る程、金色の瞳と白い手の先以外は全身真っ黒の高級そうな黒猫人形にふさわしい名前だ。

私は屋敷へ帰ってすぐ彼に嫁を迎えさせようと思い立ち、とりあえず自分の机にルドルフを置いてバトラーに声を掛けてみたところ、
暗に「そういったことはメイド達に」と言っていたので茶菓子を運んできたメイドに、この度迎え入れた“彼”に妻を用意しようと思っているという旨を伝えたら、
まず、その頭を撫でてもよいかという許可を求められた。
何故だろうかと軽く思案する。

帰り際、祖父に「そいつは相当な女たらしだから注意しろ」と苦笑いで言われたことを思い出すと同時に、
それほどかという思いと、程度の軽い嫉妬と恐れが入り混じった複雑な、かといってそれほどのでもない、
微妙な感情が私の中で渦を巻いたような錯覚を感じた。

許可を求めたままだったメイドに、「出来る限り丁寧に」と伝えると、彼女はしばらくの間、まるで母親が生まれたばかりの赤子にそうするかのように、
丁寧さと慈愛の篭った手つきでルドルフの頭を撫でて、撫でて、ひとしきり撫でると満足したのか若干先ほどより明るい顔で
「第一婦人でしたら、単純に黒と対になる白ネコでよいのでは?」という案を出した。
至極もっともだと思うと同時に、知り合いの経営する店でそれなりのものを見繕うことに決定。

彼のテリトリーについてだが、祖父から個人的に受け取ったものなので、頑として自分の机の上にと主張したのだが
その日からメイド達がなにかにつけて私の部屋へ訪れようとして仕事に障るようになってきたので
やむをえず彼の居場所を客間へと移すよう指示を出したが、
祖父もそのことで私を責めることはしないだろう。
時として、女性とはどんな敵よりも恐ろしくなるのだから。

3日後、発注しておいた物を休暇で町に出ていたメイドが屋敷へと持ち帰った。

それは、全身を薄紫がかった白色が包んだ高級猫の置物で、彼が来た翌日に注文をだしておいた物だった。
さっそく私は彼女をルドルフの隣へ据えて、『明日の朝を皆で迎えるまで2人っきりにしておくこと』と屋敷の全員に伝える。
我ながら小粋でユーモア溢れる一声だっただろうと思う。一歩間違えれば頭の愉快な人扱いされかねないが。

翌日、屋敷の者全員での朝の礼拝を終えた後彼らの様子を見に行くと白猫人形は何処かへと消え去っており、探しても見つからず、
ルドルフの右わき腹に一筋の赤い線がはしっていた。……さては喧嘩でもしたのだろうか。
まさかな、とは思う。ただ、あえてその馬鹿馬鹿しい想像を続けるのなら、
それなりに値を張った一品だったのでもう少し長続きして欲しかったという本音に行き着いてしまう。


それから何度か社交期のたびにルドルフの嫁を見繕おうとしたのだが、
彼は今現在も独身の身である。
* Re: −火編 #3− ( No.7 )
日時: 2010/01/24 00:40 メンテ
名前: ざ・T(♂)

火編−#3 無い女性と有る女性−


アワナイト……
スコシデモハヤク、アノヒトニアワナイト……
デモ、
ワタシハ、カレトサイカイシテモヨイノダロウカ……?
サイカイヲアノヒトハノゾンデイルノダロウカ……?
イマノワタシニハ、ナニモワカラナイ……


・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・

 とりあえずペーターと2人で適当な部屋に少女を放り込み――いや、今のイチゴパンツ部屋は、そのナニかをそそられる名前とは真逆に地獄の毒ガス室だからね――呼吸、脈拍、体温その他諸々軽い検査で安定を確認。念のためしばらくの間少女の様子を見て少しでも異変があればスグに知らせるようネギに頼んで部屋を後にし、今僕は、ミナトが居そうな適当な資料室を目指して廊下を歩んでいる。
まぁ、この資料室も――分類によって大まかに分けられているのはどこも同じだろうけれど、ご多分に漏れず変で、一番大きい第一資料室は何故か最上階の展望室へ上がる階段の脇に入り口があって、内部は無駄に複雑に入り組み、所々に傷薬とか、毒消しとか、栄養ドリンクといった回復アイテムや、突然棚が倒れてきたり、鋼線に足が引っかかると後頭部を狙って先っぽに吸盤がついたおもちゃの矢が飛んできたりするトラップ等が仕掛けられていて、RPGでも定番のダンジョンそのものと化してるし、第二資料室は横1m、奥行き58cm、高さ1.7m……扉を開いたら棚が一つ置かれている“だけ”で終了。資料“室”ではなく“棚”扱いにすべきだと抗議のデモ行進がされた過去を持つ。(ちなみに、デモを決行したのはアホ約一名のみで、旗とかハチマキとかも装備してやたら気合が入ってたけどミナトに一睨みされてやむなく敗走していく現場を無駄に団員総出でまじまじと見物してやった)第三資料室は二階の中央待合室に隣接した一番マトモな資料室で、よく先生方が足を運んでいるのを見ることが出来るけど、そのおかげで外部の人はここをメインの資料室だと勘違いすること間違いなし。ただ、職員を識別するカードを持っていないと突然落とし穴に落とされたり、タライが振ってきてK.O.されたりするっていう超セキュリティ仕様になってる。……他にもポスターの裏のスイッチが扉の鍵になってたり、熱帯のジャングルのごとく木とかが生い茂ってる資料室とかもあるけど、全部あげてたらきりが無いからこの辺で割愛御免。
んで、それら資料室に納められているすべての本や、資料室の構造まで完全と呼べるほど正確に把握している(と、思われるので)ミナトは“司書”とも呼ばれている。

そのミナト――本名を黒葉湊(クロバ・ミナト)と言い、漆黒の宇宙に星を散りばめたような印象を受ける瞳にシルバーフレームの眼鏡をかけて、淡い紫色の髪。かなり小柄でバストも同様にペッタンコと呼ぶにふさわしく、ほとんど某なんたらヒュー……インター……なんたらそのまんまだけど、パッと目に付く相違点は首から提げて虚しい(乏しい・悲しい・無いと呼べる、に置換可能)胸元を飾る銀のケルト十字。椅子に座って本を読んでいる姿を見かけることが出来るが(それ以外の姿は滅多に見ないが)、読んでいる本はSFのハードカバーに限らず、『青少年の心と体』『偉人の伝記シリーズ』『学園○ノ』『吾輩は猫である』『怪○王女』『人間失格』『HEL○SING』『泣ける2ch』etc…と、無節操極まりない上、本人曰く夏と冬にかなりの出費があるらしい。ちなみにその際の資金源を確保するため、かつて連続紳士暴行猥褻事件と呼ばれる(職員男性限定)悪夢の日々を引き起こした張本人でもある。その後、惨劇を繰り返したくなければ――と、やたらドス黒い笑みで脅され……………可愛らしい笑顔で『ちょっとでいいからお金貸して♪』とねだられて局地(財布)的豪風雪に陥る被害者が年二回多発する事となった。事件の際、当然僕も巻き込まれたのだけれど、その時ナニを見て、ナニをされたのかについては黙秘させてもらおう。男子の尊厳に関わる重大事件だったからね……。ゲフン。話がずいぶん逸れたけど、そんな彼女には濃い濃い噂が多々あって、実家がそーゆー本屋だとか、薔薇の花が好きだとか、リアル惚れ薬の開発に携わっているとか、それを強力に支援しているのが団長+院長のやってられんコンビだとか、何時の間にやら“両刀遣いの腐女子である”という噂が広まっていたりもするし、それを流したのは本人だという噂もあるが、唯一つ僕が確認に成功したのは“腐女子”という一点だけ。真実はいつも一つ!!……だったらいいなぁと、心の底から本気で思う。いや、ガチで。こんなに真摯に願いごとをしたのは本当に久しぶりだ。

なんて話してる間に2Fの第三資料室にひょっこり到着。
扉をWAWAWAと華麗にオープンして無駄に格好つけながら歩いていると、真正面の棚のところに人影が見えたので
「うぃ〜ッス」と軽く挨拶をして通り過ぎる……はずが、過ぎれなかった。

「よッ。」
「おや、こんなところで。」
なぜなら、赤い長髪の美女に服のすそを“ものすごい”力で引っ張られたからだ。

「なぁにしてんのサ?」
「コッチの台詞ですが、何か?」
「いや、ちょっと新しいレシピの参考になるものが無いか探してたンだ」
「さいですか」
「ぉぅぃぇ」

彼女はクレア。本名クレア・D・クロコック。
ボン・キュッ・ボンの素晴しいどこぞのスーパーモデル並のスタイルに、腰まで伸ばした赤髪と鼻眼鏡――パーティーとかでウケ狙いに使われる鼻と眼鏡がセットになってるやつじゃない。某魔法(少年)先生の鼻の上に乗っかってる小さいアレ――が見事にマッチして普通の男なら10人が10人振り返る美人であるものの、残念ながら彼女も間違うこと無き腹黒団の一員で、フリーダイヤル黒黒会議(別名:ア○ランス)の召集を受けて集まった際には元料理人としての腕が振るわれるのだが、――ちなみにその腕、余分なものはほぼついておらず適度に引き締まりつつも、男心をくすぐる程度に柔らかいという驚くべきナイス肢体だということを、最近身を持って学んだ。代償は大きかったが――必ず誰か1人とんでもない調味料が入った料理を食べさせられのた打ち回る破目となり、それを見るのが大好きというそれなりにいやらしい趣味を持っている。性格は時々恐ろしいほど漢らしく、姐御やアネキと呼ばれることも多々あったり。座右の銘は“人の不幸は蜜の味”だとか。そろそろとある軍服橙色吸血鬼のように虫歯の危険が疑われるので、指先がカーリーな上にダンディな顔つきで有名な先生が受け持つ歯科の待合室に足を運ぶことをオススメしたい。ちなみに、腹黒団のスローガン『我々はおっぱいだ!』……ちゃうわ、『我ら皆、バカと騒ぎの下に』とは彼女考案。スローガンってものが存在したことをぶっちゃけ今思い出した。次に団員の誰かとすれ違ったら片手を胸に当てつつ言ってみようかしらね。

「んでお前さんの方は何か調べもんカィ?」
「いんや、ミナトが僕を探してるらしいんでね、居そうな場所をあたってるところなんだけどミナトと二人きりという状況を考えると何時食うか食われるかの戦闘に突入するかわかならいという危険が伴い夜を待たずして僕の貞操の危機が風前のロウソクより危なっかしくロウソクをあえて漢字で使わないことにも(ry)」
「それ以上グダグダしゃべるならお前に過去最高の一品をプレゼントする」
「冗談じゃない!前のアデラ○スの後歯茎に口内炎が五個も同時に出来たんだ!医療費を要求する!」
「ミナトにツケで夜露死苦ナ。」
「却下!!」
「では、次のターゲットをミナトにして、調味料に大人のオクスリを処方しようかネェ」
「狂戦士を召喚する気か!?」
そうポンポンと危険要素を乱発しないで欲しい。
「……(プw)」
「鼻で笑われたッ!?」
「いやぁアンタあんまりにも必死だからサ(笑)」
「失敬ダナ。お前、失敬ダナ。」
「いやいや、怒らんでくれ給えョ。詫びに実行するのは狂戦士召喚だけにしといてあげるから」
「十分危険だわッ!……ってか!三つともやる気だったのか!?」
「もっちロン☆」
「小首傾げても凶悪に見えるだけだっつー!」
そろそろハリセンでその口を引っぱたこうかと思った瞬間、ヒョイと打ち辛い位置にかわされた。ちぃ。
「図書室では静かにしたまえよ君ィ?」
「ほっとけ!」

……と、一段落ついたところで深呼吸して息を整える。

「じゃあ、ミナトは見てないんだな?」
「まぁネ」
「うぃ、情報せんくす」
「ゆーあーうぇるかむ。見かけたら連絡入れようか?」
「や、そんな大して急ぎってわけでもなさそうだし、足で見て回るよ。」
「ん、ぐっどらっく。」
「あいるびーばっく。」

姐御に再会を約束して別れを告げると着た道を折り返し、次は三階でやたら中世の貴族的なふんいき漂う資料室を目的地に定めて歩き出した。

* Re: 虎ノ穴 ( No.8 )
日時: 2014/07/02(水) 22:56:48 メンテ
名前: 名無しさん

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